Skip to content

複数クライアントのブランドを混ぜない技術

フリーランスや小規模エージェンシーで複数クライアントの案件を並行して回していると、ある日突然やってしまう。クライアントAの資料にクライアントBのブランドカラーを使う、という事故を。

NANAKAZOKUも最初の3ヶ月でこれを2回やった。Claude Designのプロンプト履歴は会話単位なので、うっかり前のセッションの記憶を引き継いでしまう。本記事は、その経験から作った「混ぜない仕組み」の全公開だ。

具体的にどんな事故が起きたか書く。あるスタートアップA社(コーポレートカラー:紺+ゴールド)のスライドを作ったその日の夕方、食品メーカーB社(ブランドカラー:オレンジ+グリーン)のSNSバナーを依頼された。

「さっきと同じ感じで」とセッションを引き継いで作業したら、バナーに紺色のアクセントラインが入っていた。ぱっと見は気づかない程度の差し色レベルだったが、クライアントからの確認で指摘されて冷や汗をかいた。

原因は単純で、同一会話内で前のプロンプト記憶が引き継がれていたこと。Claude Designは会話コンテキストを保持するので、明示的にリセットしないと前の「雰囲気」が残る。

Claude Design: Anthropic Labsが開発したAIビジュアルデザインツール。テキストプロンプトからUI・スライド・マーケ資料などを生成する。プロンプト: AIへの指示文。Claude Designでは自然言語でデザインを指示する。

プロジェクトを分離する3つの仕組み

Section titled “プロジェクトを分離する3つの仕組み”

クライアントが変わったら、絶対に新しいチャットを開始する。これだけで事故の95%は防げる。「さっきの続きで〜」という誘惑に負けない。

会話名に命名規則を設ける:

[A社] SNSバナー_2026-08
[B社] スライド資料_2026-08
[個人] ブログOGP_2026-08

ブラウザのタブに会話名が出るので、見間違えが減る。

2. ブランド定義ブロックを冒頭に固定する

Section titled “2. ブランド定義ブロックを冒頭に固定する”

各クライアント用のプロンプト冒頭ブロックをテキストファイルで持っておき、コピペして使う。

【ブランド定義:A社】
- メインカラー:#1A2B5A(紺)、アクセント:#C9A227(ゴールド)
- フォント:見出しはセリフ系、本文はモダンサンセリフ
- トーン:信頼感・プロフェッショナル。にぎやかな色は使わない
- NG:オレンジ、赤、手書き風フォント

この「NG」の列挙が重要で、混入しやすい色を明示的に禁止しておくと精度が上がる。

3. 生成後のブランドチェックリスト

Section titled “3. 生成後のブランドチェックリスト”

生成物ができたら、目視チェックの前に自分でこのリストを回す:

  • メインカラーが指定通りか(ツールのスポイトで確認)
  • フォントファミリーが正しいか
  • トーンがブランドガイドラインと合っているか
  • 他クライアントの「癖」が混入していないか

これを10秒でもやる習慣が、1時間の修正作業を防ぐ。

クライアントが増えてきたら、Notionかローカルのテキストファイルで「プロンプト台帳」を作る。

clients/
A社_brand-prompt.txt
B社_brand-prompt.txt
C社_brand-prompt.txt

ファイルには「ブランド定義ブロック」に加えて、過去に使って効いたプロンプトのスニペットも残しておく。「A社はこのフレーズを入れると雰囲気が合う」という知見が溜まっていく。

実は、事故の真因は「プロンプトの引き継ぎ」よりも自分の頭の切り替えが不十分なことが多い。

クライアントを切り替えるとき、ブランド定義ブロックを読みながら「このブランドはこういう人たちのためのものだ」と30秒でいいからイメージする。頭がきちんと切り替わると、プロンプトの書き方も自然と変わる。

道具の使い方と同時に、自分の頭の使い方も変えるのが、複数クライアントの高品質並行管理には必要だと、2回の失敗から学んだ。

作成日:2026年8月2日

更新日:2026年8月2日